隠者のちょっと横道。。無駄話。。。? 〜和食器webショップ〜菖蒲の隠者
エゴン・シーレを知っていますか
2009 10/09 (FRI)
6月以来、出張で久しぶりに訪れた富山。。
今から10年程前まで、定宿にしていたビジネスホテルの近くで、当時良く通っていた喫茶店に久しぶりに出かけてみる事にしました。

当時は出張の度によく利用していた喫茶店で、マスターとも顔なじみのお気に入りの喫茶店でしたが、富山での活動拠点を変えてからは、距離も離れてしまったため中々利用する機会も無くなってしまっていました。。

実は前回の6月の出張の際に、久しぶりにこの喫茶店を利用する機会があり、久しぶりに楽しみにして出かけたものの、その時はお店の電気が消えていて。。
『今日は定休日だったかな?』と店の入り口まで行ってみると、『店主がまた入院のため、しばらくお休みさせて頂きます』との張り紙がしてありました。。
『また』ってことは、マスターが体調でも壊して入退院を繰り返しているのかな?と推測されましたが。。

画材や梱包・ラッピング商材なども扱う大きい『文具ショップ』の一角の小さな区画に、テナントとして店を構えていた、

珈琲舎『エゴンシーレ』

20世紀初頭のオーストリアの画家『エゴン・シーレ』の名前を店名にした喫茶は、4人席のテーブルが3つ、カウンターに5人程座れる程度の小さな小さなお店でした。

『エゴン・シーレ』自画像 いつもモノトーンの服を着て、スリム(というよりはガリガリ)で、広いおでこに天然パーマのマスターは、隠者よりも一回り程年上でしたでしょうか。。。
いつも寡黙で余計なおしゃべりは一切しないマスターとは、時々言葉は交わすものの、その素性などは聞いた事もなく。。

でも、妄想好きの隠者の目に写るマスターは、見るからに画家でも目指していたかのようなスタイルで。。。
まさしく『エゴン・シーレ』の絵から飛び出したかのような風貌・スタイルが印象的でした。。
お店で使っていた珈琲カップには、『エゴン・シーレ』のクロッキーの自画像がプリントされていましたが、このプリントの顔を見た殆どのお客さんがマスターの顔がプリントされていると勘違いするほど、『エゴン・シーレ』の自画像の雰囲気にマスターはそっくりでした(笑)

『エゴン・シーレ』裸婦像 そして、一緒に働いていた奥様は。。
透き通るような真っ白な肌と、スリムで華奢なスタイルは、まるでバレリーナを思わせるスタイルで。。神秘的な印象が強烈に残っています。

店の所々には、全国から集めたマスカレード風の仮面やマスクなどが飾ってあって、もちろん『エゴン・シーレ』のクロッキーや水彩画も飾ってありました。

そして、その飾られていた1枚の『裸婦像』は、奥様がモデル??と思わせるような変な錯覚さえ覚えたのを思い出します。。
画家を目指していたマスターと、そのモデルを務めていた奥様。。。そんなカップルがいつしか結ばれた。。。なんて・・隠者の妄想は益々深まるばかりでした。。(汗)

たんに『エゴン・シーレ』のファンだからと言うだけでは説明がつかないような、そのスタイル・風貌・雰囲気、すべてが『エゴン・シーレ』の作品を感じさせるような、マスターと奥様なのでした。

そんな珈琲舎『エゴンシーレ』の売りは、
『ブラックカレー』という真っ黒なルーが特徴のカレー。
まるでイカスミを思わせるこのカレーは、かなり辛口の本格的な大人のカレーで、隠者も大好きでした♪

『ブラックカレー』関連記事
- 北陸カレー物語 エゴンシーレ
- カレー部★「エゴンシーレ」のブラックカレー
- 富山ランチ:エゴンシーレ
- ぼてやんでお腹満足!!@エゴンシーレ「ブラックカレー」

そして、もうひとつの売りが、毎日の『日替わりランチ』
カレーが売りの喫茶にもかかわらず、日替わりランチは純和風の自家製家庭料理が中心で(しかも、ありがちな「トンカツ」や「フライ」といったメニューではなく「サバみそ」や「肉じゃが」などといった、本当に素朴な家庭料理が中心でした)、ボリュームも満天で、お昼時にはいつもサラリーマンで賑わっていました

隠者もおなかが空いた時には、ここの日替わりランチで腹ごしらえをしていましたが、それでも『大盛りのご飯』は隠者には多すぎる量でして。。
いつも注文をする度に『ご飯少なくして』って頼むのですが、いつも決まって『大盛り』で出て来て、その度にもう一度『もっと減らして』と頼むのですが、『残してもいいから』って言われ、さらに『残すの嫌いだから』って、改めて減らしてもらうという、寡黙なマスターとのやり取りの繰り返し。。
毎回毎回同じ事繰り返しているんだから、いい加減に最初から減らして出してくれたら良いのにって、思う事もありましたが。。。でも、いつ行っても。何回行っても変わらず出されるこの大盛りの量は、このマスターの気持ちなのだろうなと、何だか妙に温かい気持ちにもなりました。。(もちろん、何回行っても無理矢理減らしてもらうのですが・笑)

『日替わりランチ』関連記事
- エゴン・シーレ(日替定食) - ぽか麻呂の独身貴族日記

富山 珈琲舎『エゴンシーレ』 ランチの忙しい時間帯が終わり一段落すると、マスターはカウンターで『鼻メガネ』『美術雑誌』を読み始めます。。。
その間も、殆ど客との会話は無しで、
時々、常連の客とひと言ふた言会話を交わす程度。。
でも、そんな静かな時間が、妙に居心地の良い喫茶店でした。。。

ある日、隠者が仕事で『中華料理店』のオープンの仕事に携わっていた時には、この店に飾ってあった『中国雑技団』の『京劇の仮面』を借りた事もあります。
その時は『仮面』のデザインを器に出来ないか考えていた時で、そういった理由も、何も聞かずに貸してくれました。。

この喫茶との出会いで、『エゴン・シーレ』という画家を知り、興味が沸き、作品を知り、『エゴン・シーレ』の生涯を綴ったDVDも借りて見ました。。

なぜ今頃になって『エゴンシーレ』という喫茶店のことを記事にしているのか。。。

それは今回、6月以来改めて、お店を訪ねてみて。。。
今回は残念なことに、お店はキレイに片付けられ・・
『テナント募集』の立て札が出されていました。。。

この看板を見た時には、本当にショックでした。。。
マスターは無事退院したのだろうか・・
もちろん、無事に退院して奥様と元気に暮らしていると信じていますが。。
もう『エゴンシーレ』のお店はやらないのだろうか。。。

切ない気持ちが溢れて来てしまいました。。。
自営業でやっているいじょう、跡継ぎがいなければいつかはやってくる、避けては通れない切ない現実。。 でも、大手チェーン店やフランチャイズ店には決して出せない、その店独特の色や雰囲気があって。。 こういった個性的なお店はずっと残っていて欲しいものですが、でも個性的ゆえに跡を引き継ぐのも難しい部分も沢山あって。。
今でも、こういった個性的で素敵なお店が、このようにしてたくさん消えていっては、また、新しいお店も生まれているのだろうと思うと、世の中の無情を感じてしまいます。。

『エゴンシーレ』マスターが、元気になってこの記事のことを見つけてくれたら嬉しいな。。『エゴンシーレ』本当に良いお店でしたよ。。

ハナレグミ - きのみ



画家 エゴン・シーレ に興味が湧いた方は↓こちらを参照下さい。
エゴン・シーレ - Egon Schiele(Wikipedia)
エゴン・シーレ 作品集 & シューベルト「死と乙女」YouTube動画

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